「財」杉本育文化財団のウェブサイトでは定期的に、
アーティストの作品をご紹介させて頂いております。

今回のアーティストは

田中 進

Tanaka Susumu

1951年、福井県生まれ。洋画家。大野アーティストインレジデンス大野アートウェーブ実行委員長。第115回記念太平洋美術展新人賞、アートオリンピア2019準佳作、日光東照宮美術展覧会「黎明」東照宮白沢賞。

Born in Fukui, 1951 / European style painting artist / Committee of Ono artist in residence Ono art wave / Newcomer prize at 115th memorial Taiheiyo art exhibition / Fine prize runner up at Art Olympia 2019 / Work "Dawn" received Toshogu Hakutaku prize at Nikko-Toshogu art exhibition

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「白い朝※非売品」

ある雪の日の朝。“いつも見ている桜の木が鳳凰に見えた”と田中氏は振り返ります。鳳凰とは、古代中国・春秋時代の『詩経』や『論語』の中で「聖天子の出現を待ってこの世に現れる」といわれる霊鳥の一つ。光が当たった一瞬の神々しい姿が、何かが舞い降りたような感覚を生み、作品と化しました。2019 日光東照宮美術展覧会「黎明」秀作撰 東照宮白沢賞受賞

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「鳳凰降臨 / S50号※売却済」

「白い朝」とは、わずかな背景の違いを持つ一作。普段、農作業を営む田中氏の畑付近に立つソメイヨシノ。映画に採用された木でもあり、気にしていた折、ある角度から眺めた瞬間に“鳳凰が舞い降りた”。儚さを漂わせる桜と、永遠を象徴する鳳凰の組合せが、鑑賞者を絵に込められた時の流れに誘います。

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「銀河の冬 / M80号※売却済」

枝葉に積もる雪が夜空の星と相まって描かれる、銀河のような世界。モチーフの巨木は、大野市菖蒲池・白山神社にたたずむケヤキ。田中氏が幼い頃から慣れ親しんだ“身近”な木でもあります。約500年の樹齢と、138億年という宇宙創生の時間が何気なく重なる距離感が不思議な感覚をもたらします。2021 第105回記念 二科展 入選 2022 Art Journal Vol.108 国際芸術大賞 受賞

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「越前大野城 / M80号※売却済」

「北陸の小京都」の象徴でもあった大野城。しかし、この絵画の主役は再建された天守閣ではなく、歴史ある石垣です。バックグラウンドとなっているのは、小説家・大島昌宏氏の著書「そろばん武士道」で綴られる、貧窮する藩の復興を目指す経済武士の物語。登城する「そろばん武士」の姿が浮かび上がります。2019 第115回記念 太平洋展 絵画部門 一般 新人賞入賞・21世紀 フォンティーヌブロー芸術大賞、2021 シュペルブ芸術賞、2022 Art Journal Vol.102 新世紀日本美術選賞 受賞、吉久保酒造代表酒「一品」ラベル起用作品

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「冬色-越前大野城 / F30号」

“大野城の古さを描きたかった”と語る田中氏は、昭和43年に再建された天守閣ではなく、古くより存在し続けた石垣をメインに据えました。大野城の所在する亀山の麓には、氏の母校・大野高校(当時)も所在していました。放課後、山に入って遊んでいた記憶は、遥かな歴史にも刻まれているのでしょう。2022 TOKYO世界展-ランブイエ2022- ミニ個展 出品、2022 ル・サロン2022『MENSION』選出 奨励賞

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「雪が降る / S12号」

舞台は、大野市の奥越ふれあい公園の一角です。思いにふけっていたらいつの間にか雪景色に。目に入ったのは、2羽のキジ。“自由奔放にはしゃいでいるのがオスだとしたら、もう1羽はメスだろうか”というイメージ。奥へ向かってカーブする通りが、幻想的な空間に遠近感をつくっています。2021 第22回 日本・フランス現代美術世界展 優秀賞(モチーフ)、2022 TOKYO世界展-ランブイエ2022- ミニ個展 出品

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「雪が舞う / S12号」

レールの上を除雪しながら走るラッセル車が、大野市菖蒲池の踏切にちょうど差し掛かった瞬間が切り取られています。出動するのは年に数回という貴重なタイミング。冬の夕方を伝える、暗めの世界観。ラッセル車のライトが放つ光が、雪面に反射して彷徨っています。風で舞っているのは、雪か、光か。2022 TOKYO世界展-ランブイエ2022- ミニ個展 出品

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「荒島岳山麓 / F10号」

山裾に広がる森の静寂さにフォーカスするために、視野に入っていた上下の世界をカット。キャンバスを2枚つなげて描いた、「荒島岳山麓〈其の2〉」との双子作品です。手前で和やかに遊んでいる2羽の鳶の背景で、閉じられた無音の世界が展開。白と黒が、コントラストを持ちながら調和しています。

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「荒島岳山麓(其の2) / F10号」

「荒島岳山麓」と2つで1つ。2枚のキャンバスをつなげて描かれた双子作品の片方。場所は、大野市蕨生。“荒島岳の山裾に広がる森の静けさを表現したかったから、視野の上・下部分をカットした”という田中氏。横に展開する森の表情を伝えるために、対象を広く捉えるのではなく「切り取った」作品。2021 第12回 世界平和芸術家教会展 平和功労賞、2022 TOKYO世界展-ランブイエ2022- ミニ個展 出品

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「佐開橋から / F30号」

初冬。麻那姫湖の下流・真名川にかかる佐開橋から。葉は落ち、茎だけを残したススキが哀愁を漂わせています。夏とは異なり、空の映り込みが少ないゆえに清らかな美しさをたたえる冬の川面。美しく、濃いブルー。その濃さが真っ白な風景と生み出すコントラストを“そのまま描いた”作品です。2021 東日本大震災復興支援企画 第9回アート・アズ・アート~芸術の祭典㏌仙台~ 出品

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「越美北線除雪 / F30号」

雪に覆われた大地をラッセル車が走っています。つまり、そこに線路があるということ。また、よく見ると山裾部分の景色には、堤防があり、真名川があり、六呂師高原の高台も描かれています。田中氏が“寒さを伝えたかった”というつららには、曇天が潜んでいます。これは、描き込まれた真っ白な景色。2022 第5回 日美展 絵画部門 準大賞 福井新聞社賞

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「公園の初雪 / M80号」

初雪の降る、大野の奥越ふれあい公園。そして、雪と戯れるように駆け回る女の子。“自分も新雪が降ると嬉しくなる”という田中氏は、その思いを女の子の姿に体現。人物を描くことがほとんどない氏が、自分の心象を表すために紡いだ風景。大小ある降雪が奥行きを生み出し、鑑賞者を引き込みます。2019 躍動する現代美術 推薦

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「金色霊鳶 / F20号」

「稲穂の絵」というリクエストを起点に完成した作品。稲穂を持つ鳶は、日本書紀で天皇による日本建国を導いた金色の鳶からイメージ。田中氏にとっての鳶は、トラクターで農作業する際に、いつも周囲で群がっている親しみのある鳥とのこと。横に流れる雲が、鳶が天翔けるスピードの速さを感じさせます。2022 第117回 太平洋展 絵画部門 20号コーナー 入賞

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「朝日 / F20号」

荒島岳の左肩から顔を出す朝日。季節が夏に向かうに連れ、右側にずれてきます。天候による影響もありますが、朝日を浴びた雪面が薄紫に見える晩冬ならではの情景が落とし込まれています。青みがかった幻想的な色調や、波のように見える畦は、雪面をまるで水面のように思わせてくれます。2022 ASEAN設立55周年~日アセアン友好文化交流展 出品、2022 平和祈念アートラベル展〜伝統と革新〜 出品

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「休日 / F20号」

降雪と曇天が続く冬に、たまたま青空が姿を見せた日曜日の情景。“越美北線の赤い車体を通して、休日の胸躍る感覚を表したかった”とは、田中氏の言葉。赤と白のコントラストが鮮やかです。また、明るい空と奥に見える山々の深みが対象的。湾曲する空の表情からは、列車の疾走感が伝わります。

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「朝霧 / F20号」

形を定めず、同じ方向へも流れない霧。差し込む光や家々と重ねて眺めることで、不規則ながらも、どこか霧のベクトルが感じられます。手前の除雪された雪、シルエットが印象的な2本の柿の木、そして、稜線を重ね合わせる小・大荒島岳の姿が、一見朧げな絵に確かな存在感を生み出しています。

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「大野丸(快晴) / F15号」

貧窮する大野藩復興を目指した経済武士の小説「そろばん武士道」(大島昌宏 著)の作中で登場する、帆船・大野丸。朝日を浴びて輝く船体を港から眺めて感動したエピソードをイメージ。雲や風が颯爽と海を駆る帆船を感じさせます。大野の冬を題材にする田中氏としては、異作の一作といえます。

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「大野丸(大嵐) / F15号」

史実、大野藩の交易船として活躍した大野丸は、1864年に根室沖で座礁、沈没。それまでにも幾度も嵐の中を航海してきた軌跡に思いを馳せ、出来上がった作品です。うねり、破砕、飛沫。様々な波の動きを組合せて荒々しい光景へ。無数の要素を違和感なく結び、自然の姿をあらわにしています。

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「ねこじゃらし / S12号」

霜が降りる季節、ふわふわとした花穂が真っ白になりつつ揺れている一瞬を。地面には、曲がったままの枯葉たち。動かなくなっている赤とんぼには、“しばらく手のひらに包んでいたら飛び去った”という田中氏の子供の頃の思い出が生きています。徐々に顔を出す朝日が大野を温めていく様子が伺えます。

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「日暈 / F20号」

これまでとは趣が異なり、暖色を取り入れた作品。冬景色の中、暖かみを感じ、鑑賞者の心までも温めてくれます。特定の条件が重なり見られる「日暈」、田中氏が初めて見た自然現象を細部までリアルに表現。あえて電線を描くことによって、幻想と日常の一体感を味わえます。

田中進さんの作品を購入なさりたいという方は、当財団までご連絡ください。
作品の販売も承っております。