『他ではない、この場所で生まれた芸術に触れたい』
昔から、人は土地に結びついて生きてきたはずで、物流が発展する前までは、その土地で採れた作物を食し、体も心も、その場所で生きることに適したように成長させてきました。グローバル化した今も、「土地柄」というものは、しっかりと存在しています。しかしながら、土地の個性を感じる文化や芸術は、昨今の忙しい生活の中では、放っておいても生まれて来てはくれないことは、もう明白です。
その土地で生まれた文化・芸術には、その土地の人の心を豊かにするチカラがあります。現代環境の中に生きる私たちは、もっと心を解きほぐし、文化・芸術によって心を耕すような体験をすることでインスピレーションを得た方がより良い社会づくりに貢献できる人間になれるのでは?と常々思うのです。
地方都市は時々、他から新しいことを取り入れるのが下手だと言われることがあります。ですが逆を言えば、自分たちで新しいものを生み出すことは上手いのかもしれません。多様化の時代と言われて久しいですが、それはたくさんの種類の正解が必要な時代であることを意味しています。私たちは、この土地で生まれた文化・芸術なら、この土地で生活する人にとって最も良い影響を及ぼすはずだと信じてやみません。
文化・芸術の地産地消を促すことこそ、この財団の果たすべき役割だと思っています。